鍼灸治療って?

 

鍼灸は、一般に「はり・きゅう」または「しんきゅう」と呼ばれています。東洋医学或いは漢方医学の一分野として中国に起源をもつ我が国の伝統的医療であります。鍼灸は金属の細い針を経穴(ツボ)に刺入し、或いは(もぐさ)を燃焼させて経穴(ツボ)に刺激を加え病気を治そうとする施術です。鍼灸医学は、日本には6世紀の初め飛鳥時代に仏教の伝来より11年遅く、また漢方薬より先に渡来したと云われています。古代の中国で揚子江流域やその南方の地質が豊かでさまざまな植物が茂った所ではその根・皮・木・草等を採集して煎じて飲む薬としての療法が発達したとされています。一方、黄河流域は土地が痩せて植物の種類も少なく生育も悪い地方では、煎じ薬に頼りがたく経験的に針灸療法が発達したものと思われます。この2つの医学は、中国の漢の時代にひとつに集大成されましたので今日では、漢方医学と呼ばれています。

さて、鍼灸医学は、我が国に渡来して以来明治時代の初期までの長い間、漢方薬と共に医学の主流として広く人々に活用されてまいりましたが、幕末のオランダ医学(西洋医学)の伝来によって次第に衰退を余儀なくされてきました。その後、明治政府の欧米化政策により1874年、日本の医学を西洋医学とする立法が制定され医学の主流を西洋医学に明け渡すこととなりました。何故このようになったのか、欧米化政策がひとつの理由ですが、その他として東洋医学は内因性の病気には、その特徴を生かし治療効果もそれなりに評価されてきましたが外因性のもの(外傷)にたいしては効果が遅いことが挙げられます。特に、戦場などで受けた外傷に対しては、西洋医学の外科の方がはるかに役立ちましたから東洋医学が軽視されたとも云われています。しかし、最近では、公的な医学研究所・医科大学・鍼灸大学や鍼灸短期大学・医療機関等で科学的な各種の実験、研究がされて少しずつ鍼灸医学の効果が証明されてきましたので、日本をはじめとして米国やヨーロッパ各国でも鍼灸が盛んになってきました。

       

鍼灸治療の適応症

一般に、鍼灸療法は肩こり,腰痛、神経痛、関節炎ぐらいにしか効果が無いように思われがちですが、多くのつらい症状や病気に効果があります。 鍼灸の適応例 最近、NIH(米国 国立衛生研究所)の見解として鍼灸療法の各種の病気に対する効果とその科学的根拠、西洋医学の代替治療として効果について有効であると発表しました。 鍼灸療法で有効性がある病気には、次ぎのものがあります。

 •【神経系疾患】

神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛 ・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー  

•【運動器系疾患】

関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛症・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)  

•【循環器系疾患】

心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ  

•【呼吸器系疾患】

気管支炎・喘息・風邪および予防  

•【消化器系疾患】

胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾  

•【代謝内分秘系疾患】

バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血  

•【生殖、泌尿器系疾患】

膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎  

•【婦人科系疾患】

更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊  

•【耳鼻咽喉科系疾患】

中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎  •【眼科系疾患】

眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい  

•【小児科疾患】

小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)    小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善

 

上記以外でも認められつつある疾患がこれからも出続けます。

更に身近な皆さんが抱える悩みなどの症状を以下のようにあげています。

これらの改善をしていくために必要なのが鍼灸です。

鍼灸は何故きくのですか?

鍼灸の効果の研究は、各地にある研究所、医療機関、鍼灸大学、短期大学などで意欲的に進められております。総合的には、鍼灸刺激が自律神経系、内分泌系、免疫系等に作用して、その結果として、中枢性及び反射性の筋緊張の緩和、血液及びリンパ液循環の改善等の作用があり、ひいては、生体の恒常性(病気を自然に回復させる作用)に働きかけるのではないかと考えられています。

また、古来より認められている鎮痛効果の解明も次ぎのような諸説があります。

  1. ゲートコントロール…針刺激が脊髄において痛みを抑制する。
  2. エンドルフィン…針刺激がモルヒネ様鎮痛物質の遊離を促し痛みを抑制する。
  3. 末梢神経の遮断効果…針刺激が末梢神経の痛みのインパルスを遮断する。
  4. 経穴(ツボ)の針刺激による痛覚閾値の上昇による鎮痛効果。
  5. 血液循環の改善…筋肉の緊張をゆるめ血行状態を良くする。

参考URL:公益社団法人 日本鍼灸師会
http://www.harikyu.or.jp/general/effect.html

      西洋医学と東洋医学の違い

西洋医学・・・

一般的に病院と言われる場所で行われているのが西洋医学です。 客観的な数字やデータや画像検査などをもとに診断を行います。 適切な診断が行われることで、病名がつきます。 その病名に対して、薬や必要な検査、手術などの対策が施されます。

東洋医学・・・

現在では、病院でも受診可能ですが、まだまだ多くはありません。 東洋医学では、人そのものを診ています。 症状や、体質などを、主に判断しており、診断により病名がつくことがありません。 東洋医学では、その人の症状や体質などから証(しょう)というものを判断します。 その証をもとに治療を進めるので、どんな症状の方でも治療が可能です。